FRPP61  ポスターセッション③  9月4日 ポスター会場 10:30-12:30
クライオ・ハイブリッド・スタガードアレイアンジュレータの再評価
Reevaluation of Hybrid Staggered-Array Undulator in Cryogenic Operation
 
○金城 良太,田中 隆次(理研放射光センター)
○Ryota Kinjo, Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center)
 
1990年にStanfordのA. H. Hoらによって提案されたスタガードアレイアンジュレータは、電子ビーム軸方向のソレノイド磁場中に強磁性体を互い違い構造に配置することで交番磁場を生成する。2004年にAPSの佐々木によって提案されたハイブリッド・スタガードアレイアンジュレータは、強磁性体と反対向きの磁化を持つ永久磁石を組み合わせ、軸上磁場強度を数割程度増強するものである。この論文の中で佐々木は、理研の原らが2004年のクライオアンジュレータの論文中で提唱した77 Kで1.5 Tの残留磁束密度を持つPrFeB磁石と3.2 Tの飽和磁化を持つDy単結晶の組み合わせを、ハイブリッドスタガードアレイに適用した計算も行っており、同一材料のクライオアンジュレータより磁場が1割以上強いことを報告している。しかしながら、Dy単結晶は非常に高価であり、体積に比例して値段が上がると想定されるためハイブリッドスタガードアレイアンジュレータには適さない。そこで我々は、強磁性体としてパーメンジュールとDy単結晶を組み合わせ、Dy単結晶の体積を1割程度に減らしつつ95 %以上の軸上磁場を生成させる方法を提案する。本発表では、クライオアンジュレータより格段に磁気回路の組立が簡単であること、リング入射のためにアンジュレータ磁場をゼロにする手法、運転時のソレノイド磁場の影響を低減する手法についても報告する。