FRPP59  ポスターセッション③  9月4日 ポスター会場 10:30-12:30
cERL自由電子レーザー用アンジュレータの磁場調整
Magnetic adjustment of the tandem undulators for the cERL-FEL
 
○土屋 公央,阿達 正浩,塩屋 達郎,江口 柊,加藤 龍好(KEK加速器)
○Kimichika Tsuchiya, Masahiro Adachi, Tatsuro Shioya, Shu Eguchi, Ryukou Kato (Accelerator Laboratory,KEK)
 
現在、高エネルギー加速器研究機構のエネルギー回収型ライナック(cERL)においては新たに赤外波長域の自由電子レーザーの開発研究が行われている。この計画では、各種樹脂材料の加工に有用な光源となる中赤外波長領域(波長10~20 μm )の波長可変な高出力レーザー光源を開発する事を目標とする。このために長さ3mの2台のアンジュレータを建設し、磁場調整の後、cERLリングに設置して運用を開始した。このアンジュレータは、最小ギャップが10mmと狭いもののアウトバキューム型を採用している。また波長変更のためには、通常行われる磁石列間のギャップ調整ではなく、下側磁石列を長手方向にスライドさせるadjustable phase undulator (APU)として使用する。これらの方式を採用したのは計画全体でのコストを抑制しつつ、自由電子レーザーの発振を目指すためである。このアンジュレータの開発に当たって重要な課題のひとつにアンジュレータ内部の電子ビームの輸送が挙げられる。cERLの電子ビームエネルギーは17.5MeVと低いために、アンジュレータの各極で生じる積分磁場の微小な誤差が積み重なることで電子軌道を大きく曲げてしまう。これは狭い真空チャンバーの中を3mに渡りビーム輸送するためにアンジュレータ磁場分布を十分に整えることが必要となる。本発表ではcERL自由電子レーザー用アンジュレータの磁場調整方法の詳細と磁場測定の結果、及びコミッショニングについて報告する。