WEPI032 ビーム診断・ビーム制御 7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30 |
KEKB入射器における陽電子生成用一次電子のビームタイミング安定性の計測 |
Beam timing stability diagnostics of primary electrons for positron production at the KEKB Injector Linac |
○諏訪田 剛(KEK加速器) |
○Tsuyoshi Suwada (KEK-Acc) |
入射器では、ビーム位置モニター(BPM)など横方向の診断を主に行なっているが、縦方向の診断(バンチ長計測を除く)は行われていない. この欠点を解消すべく、ビームタイミングモニター(BTM)の開発を行っている. BTMは、BPMと同様なストリップライン構造を有し、加速周波数である2856MHzのゼロクロスに対するビームの到達遅延時間を信号の立ち上がりを使って計測する. この計測により、入射部におけるバンチング特性やビーム光学系など縦方向のビーム安定性を破壊することなく監視できる. 2018年の夏期保守時、入射器A44直後にBTMを設置した. A44は熱電子銃から約50 m下流に位置し、入射電子のエネルギーは~530 MeVである. このBTMは熱電子銃後の縦方向のビーム診断を目的とする. 他方、加速ユニット38後にも同様なBTMを設置し、これはDR後の入射陽電子や180度アーク後の入射電子の縦方向安定性を診断する. 後者については現在整備中である. BTM信号と加速周波数は、市販の高速オシロスコープへ入力し、内臓の遅延時間計測機能を利用する. 入射部パラメータに対する遅延時間応答を計測することで入射部の縦方向安定領域の定量的評価が可能となった. 実験により計測ジッターは1.2 ps (1σ)であった. 平均操作により1 ps以下のジッターまで抑制することも可能となる. 本学会では、BTMの計測原理と入射部パラメータに対する遅延時間応答と安定領域について実験結果を報告する. |