WEPI008  ビームダイナミクス  7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30
エミッタンス低減現象を定量的に表す新指標の提案
Proposing new index for treating emittance reduction quantitatively
 
○水野 明彦(高輝度光科学研究センター)
○Akihiko Mizuno (JASRI)
 
線型加速器で良く用いられるrmsエミッタンスは、リウヴィルの面積とは異なるので不変量では無く、非線形な空間電荷効果等で減少する場合もあり、既に本学会でも報告している[1]。その報告では、エミッタンス低減現象を活かした電子銃システムの設計例を示しているが、減少の程度を定量的に表現できていなかった。本発表では、rmsエミッタンスの定義に対応した新たな指標を提案する。新指標は、rmsエミッタンスの二乗平均平方根に対し算術平均を用いて定義し、その時間発展はrmsエミッタンスのものとほぼ同様となる。ただし、r’をrに対してプロットした曲線が下に凸の場合、負の値を示し、上に凸の場合、正の値を示すように定義する。こうすると、ビームに作用する径方向の力(fr)をrに対してプロットした曲線が下に凸である場合、新指標は常に減少する。逆に上に凸の力が作用していると常に増加するので、エミッタンス減少のメカニズムが理解しやすい。また、新指標を用いるとエミッタンス減少の程度を定量的に議論することが可能となる。本発表では、新指標の時間発展を、非線形な空間電荷効果や、ソレノイドコイル磁場の非線形性によるエミッタンス減少の例などについて示すとともに、改めて新指標を用いてエミッタンス減少のメカニズムを議論する。[1]水野 明彦, 第13回日本加速器学会年会プロシーデイングス, p.135 (2016)