WEOI07  ビーム診断・ビーム制御②  7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホール 17:50-18:10
マルチバンドRFKO電界による遅いビーム取り出しの原理実証実験
Proof-of-principle experiment of slow beam extraction from a synchrotron using a radio frequency knockout system with a broadband
 
○山口 輝人,奥川 雄太朗,塩川 智也(日大生産工),栗田 哲郎(若狭湾エネルギー研究センター),中西 哲也(日大生産工)
○Teruto Yamaguchi, Yutaro Okugawa, Tomoya Shiokawa (College of Industrial Technology, Nihon University), Kurita Tetsuro (WERC), Tetsuya Nakanishi (College of Industrial Technology, Nihon University)
 
高周波ノックアウト(RFKO)法によるシンクロトロンからの遅いビーム取出しにおいて、周回ビームをバンチングしなくても一様なスピルが得られる取出し法について研究している。この方法では、ビーム出射のon/off制御は基本的にはRFKO電極のon/off制御だけなので高速の制御が期待できる。RFKOの高周波電界としてベータトロン共鳴周波数帯を多く含む広い周波数帯のマルチバンドカラードノイズ(CN)を用いると、一様なスピルが得られることは既にシミュレーションで確認している。今回、若狭湾エネルギー研究センター(WERC)のシンクロトロンを使ってこの方式の原理実証試験を行った。そのために周波数帯域1~14MHzのRFKO装置のプロトタイプ機を試作した。RFKO装置は、CN発生源とこの周波数帯で一定の電圧を電極に印加するためのAPN(All Pass Network)、CN発生源とAPNのインピーダンス整合をとるための広帯域IT(Impedance Transformer)、40W広帯域アンプからなる。この装置をWERCに接続してビーム実験を行った。出射粒子は炭素55MeV/uである。CNのバンドの数を1から10まで変えて実験を行った結果、スピル強度のバラつきはシミュレーションで予想したようにバンド数の増加とともに明らかに小さくなった。スピル変動のrms値は1バンドに対し10バンドの結果は半分に減少した。バンチングを行った場合は、バンド数1と10でスピルの一様性は同程度で、バンチングしない10バンドの結果と同程度であった。