THPI036  粒子源  8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30
高周波電子銃用Cs-Teフォトカソードの高耐久化に関する研究
Durability improvement of Cs-Te photocathode for an rf-gun
 
○丹羽 智朗,宮松 順也,江澤 健太朗,鷲尾 方一(早大理工総研),坂上 和之(東大光量子研)
○Tomoaki Tamba, Junya Miyamatsu, Kentaro Ezawa, Masakazu Washio (WISE, Waseda Univ.), Kazuyuki Sakaue (UT-PSC, the Univ of Tokyo)
 
早稲田大学では、Cs-Teフォトカソード電子銃を用いて、高品質電子ビーム生成に向けた基礎研究及び様々な応用研究を行っている。フォトカソードとは光電効果によって電子を取り出すことができる陰極であり、加速器の性能に直接関わる重要な要素である。性能は主に入射光子と放出電子の変換効率を表わす量子効率と、1/e寿命で評価され、高性能なフォトカソードの生成に向けた研究が世界的になされている。 我々は高周波電子銃の電子源として262nmの紫外光で10%程度と高い量子効率(Quantum Efficiency, Q.E.)を持ち、かつ半導体フォトカソードでは比較的長寿命であるCs-Teフォトカソードを使用している。高周波電子銃内では最大100MV/m程の大強度電場がかかることによる放電が引き起こされるような過酷な環境であり、かつ真空度が劣悪であることから数ヶ月に1度フォトカソードの交換が必要である。上記のような環境下においてもカソードがより長時間の加速器運転に耐えられることを目的として、Cs-Teを同時蒸着法によって生成した。Cs-Teフォトカソードに関しては、同時蒸着法によるCs-Teは逐次蒸着法に比べて長寿命なものができる傾向にあることが報告されている。同時蒸着法ではレシピの最適化ができていなかったので最適化を行い、比較を行った。本発表では、蒸着チャンバーおよび電子銃内でのCs-Te同時蒸着法のQ.E.と寿命を逐次蒸着と比較した結果及び今後の展望について報告する。