THPI008 ビームダイナミクス 8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 13:30-15:30 |
大強度線形加速器における非線形空間電荷力によるビーム損失の抑制手法の評価 |
Evaluation of beam-loss suppression method by nonlinear space charge force in a high intensity linac |
○地村 幹(東北大理),原田 寛之,守屋 克洋,岡部 晃大,金正 倫計(原子力機構/J-PARC) |
○Motoki Chimura (Dept. of Phys., Tohoku Univ.), Hiroyuki Harada, Katsuhiro Moriya, Kota Okabe, Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC) |
大強度陽子加速器は大強度の陽子ビームによって生成された二次粒子を用いて、素粒子・原子核実験、物質・生命科学実験などの幅広い実験を行う施設である。大強度陽子加速器のビーム強度は実験の効率・精度を決定づけるため、各国でさらなる大強度化に向けた開発が進んでいる。大強度化に伴う空間電荷力の増大は、空間電荷効果起因のビーム損失も増大させるため、そのビーム損失による放射化の状況によってビーム強度に制限ができる。ゆえに、空間電荷効果の理解は大強度化に必要不可欠であるが、様々に状態を変化させる多粒子による効果である空間電荷効果の制御は困難である。そこで本研究では、空間電荷効果によるエミッタンス増大の抑制手法の確立のため、空間電荷力が顕著となる線形加速器の低エネルギー領域に着目し、空間電荷力を考慮した多粒子シミュレーションコードを用いてJ-PARCリニアックの計算を行った。その結果、強度に依存する、位相空間内でのビーム分布の歪みが発生し、エミッタンス増大につながっていることが確認できた。これは空間電荷力の非線形項がエミッタンス増大の原因となっていることを示唆している。そこで、多極電磁石はビームに非線形力を与えることを用いて、空間電荷力の非線形項を打ち消すことを考案した。本発表では、シミュレーション結果および空間電荷力によるビーム損失の新たな抑制手法について議論する。 |