FRPI008 加速構造 8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ 10:50-12:50 |
物性研究のための負ミュオン減速器 |
Negative-Muon Decelerator for Material Science |
○大森 千広,下村 浩一郎,大谷 将司,河村 成肇(KEK/J-PARC),高柳 智弘(JAEA/J-PARC) |
○Chihiro Ohmori, Koichiro Shimomura, Masashi Otani, Naritoshi Kawamura (KEK/J-PARC), Tomohiro Takayanagi (JAEA/J-PARC) |
J-PARCの実験施設MLFではミュオンビームを用いて物性研究はじめ多彩な研究が行われている。特に正のミュオンを用いたミュオンスピン回転、μSR、は磁性や超伝導の研究などの幅広い用途に使われている。このJ-PARCミュオン施設の特徴の一つは世界最高強度の負のパルスミュオンビームである。水素化合物の中の水素の挙動を見るため、世界で初めて負ミュオンを用いたμSR実験が昨年行われた。正ミュオンが物質内を移動することができるのに対し、負ミュオンは重い原子核の周りにトラップされた状態で付近の水素の核磁場を感じることができる。こうした負ミュオンを用いた物性研究は今後更に発展していくことが予想される。より広範な用途に負のミュオンを活用する際に、研究するサンプルが薄い場合にはよりエネルギーの低いミュオンビームが必要となる。しかしながら、現状の負ミュオンビームは飛行中にパイオンから崩壊した粒子であるためエネルギーは数100keV以上あり、薄いサンプルに適した数10keVの粒子を得ることはできない。また負ミュオンは原子核に捕獲されやすいことから、物質を用いて減速できない。ミュオンは短寿命であり効率的な減速が必要になる。このため我々はパルス電源と誘導セルを組み合わせたミュオン減速器の検討をおこなった。本発表では負ミュオン減速装置の概念設計について報告する。 |