FRPH029  加速器土木  8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール 10:50-12:50
最終収束ビームライン(ATF2)における重量物撤去と再アライメント
Realignment of the final focus line
 
○阿部 優樹(総合研究大学院大学),照沼 信浩,荒木 栄(高エネルギー加速器研究機構)
○Yuki Abe (SOKENDAI), Nobuhiro Terunuma, Sakae Araki (KEK)
 
KEKの先端加速器試験施設(ATF)では国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測・制御技術の開発を進めている。現在、最終収束系の試験ビームライン(ATF2)において、ビーム安定性を向上するためのビーム位置制御技術の開発が行われている。極小ビームを実現する上で精密アライメントは重要である。ATF2のアライメント残差は、最終収束系のビーム調整に影響を与える。ATF2の電磁石はムーバを使用してビームベースアライメント(BBA)で最終位置調整を行うため、設置時のアライメント目標はσHorizontal < 90 µm、σVertical < 60 µmとしている。2018年9月、ATFダンピングリングビーム取り出し部とATF2の間に置かれていた重さ約63 tの鉄の遮蔽体を撤去した。遮蔽体はビームラインから約2 mの所に設置されており、撤去後の影響を確認するために位置測定を行った。その結果、遮蔽体設置近辺のビームラインが垂直方向に最大500 µm浮き上がっている事を確認した。その影響を最小限に留めるため、周辺部のビームラインがなだらかになるように再アライメントした。重量物撤去によるビームラインの変化と季節変動は落ち着くまでに時間がかかる。そこで、本年5月に再び位置測定を行い、その変化の様子を確認した。本論では、重量物撤去によるビームラインへの影響と再アライメントの経緯を報告する。