FROI08  加速器土木  8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホール 15:20-15:40
SPring-8蓄積リングにおけるエクスパンションジョイントの振動減衰効果の調査
Investigation of vibration attenuation by expansion joint in the SPring-8 Storage Ring
 
○松井 佐久夫(理研)
○Sakuo Matsui (RIKEN)
 
SPring-8では過去の施設で屋根の日射による変形が加速器に影響した経験等をふまえ、床に幅5cm程度の切れ込みを円周上に入れ中に柔軟な樹脂を詰めて(エクスパンションジョイント Exp.)変形の影響を抑える工夫がされている。場所は空調機械室、保守通路、収納部、実験ホール、外周の準備室らの間で、深さは20cm〜1mである。ゆっくりした変形だけでなく振動についても減衰の効果が期待される。振動の伝搬速度が1〜2km/sで振動数100Hzなら波長は10m〜20mとなり、Exp.の下が硬い岩ならこの程度の切れ込みでは効果は期待しにくいようにみえる。しかし実際のExp.の下の堅さには差があり必ずしも剛と言えない。そこでExp.を挟む両側でxyz3方向測定した。特に重要な、空調機械室のポンプの振動が収納部へ伝搬するExp.でスペクトルは例えば上下方向など100Hz以下でも有意に減衰している。空調機械室は4カ所中3カ所のポンプの配置は似ているが、減衰はそれぞれでかなり異なっている。Exp.による減衰は必ずしも振動のエネルギーを消費しているとは言えず、建屋の上部は柱や、場所によっては太いステンレスパイプやゴム管でつながってもいて、他の経路の振動が大きくなる可能性もある。このあたりも含めて、シミュレーションに用いる地盤との結合の硬さのパラメーターを実測から求めるのが現実的で有用だと思われる。