FROI02 ビームダイナミクス 8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホール 9:50 -10:10 |
大強度ハドロンリングのチューンダイアグラム構成法について |
On the construction of a stability tune diagram for high-intensity hadron rings |
○岡本 宏己,小島 邦洸,渡嘉敷 雄士(広島大学) |
○Hiromi Okamoto, Kunihiro Kojima, Yuji Tokashiki (Hiroshima University) |
円形加速器の動作点はチューンダイアグラム上で単粒子軌道理論が予言する低次共鳴線を避けるよう設定される。大強度ハドロンビームに対しては粒子間クーロン斥力によるインコヒーレントチューンシフトを考慮し、その分布領域(incoherent tune spread)が単粒子共鳴線と重ならない位置に動作点を置くのが長らく業界の一般的ルールとなっている。しかしながら、クーロン相互作用の到達距離を考えれば、密度の高いビームコアを形作る粒子群がインコヒーレントに運動し得ると仮定するのは不自然であろう。これらの粒子群はむしろ集団的に運動するはずである。実際、インコヒーレントな描像に基づくチューンダイアグラムでは自己無撞着な多粒子シミュレーションの結果を上手く説明できない。 1次元の線形ブラソフ理論によれば、大強度ハドロンビームの共鳴不安定帯は単粒子軌道理論が予言する数の2倍存在する。不安定帯の幅はガウシアンビームのインコヒーレントチューン分布領域に比べ明らかに狭く、中心線の単粒子共鳴線からのシフト量もインコヒーレントチューンの二乗平均値未満であると結論されている。本研究では1次元ブラソフ理論の帰結を2次元に拡張し、その妥当性を系統的なPICシミュレーションにより検証した。さらに、提案された2次元コヒーレント共鳴条件を使って、従来の手法とは本質的に異なる、自己無撞着な描像に基づいたチューンダイアグラムの簡便な構成手順を示す。 |