FROHT01  技術研修会1  8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 17:10-18:10
AI/機械学習/深層学習入門
Introduction to AI/Machine Learning/Deep Learning
 
○中島 悠太(大阪大学データビリティフロンティア機構)
○Yuta Nakajima (Osaka University)
 
いわゆる人口知能(Artificial Intelligence; AI)に関する技術が広く一般に浸透しはじめている。中でも深層学習は、例えば画像中の物体が何であるかを予測する画像認識と呼ばれるタスクのコンペティションにおいて、人の能力を超えたとまでいわれるほど極めて高い性能を示しており、その可能性や柔軟性から現在では多くの分野で関連する研究が進められている。深層学習で使われる個々の技術自体は極めてシンプルなものではあるものの、最新の研究ではそれらを組み合わせて構成される非常に複雑なモデルが利用されており、これから深層学習などを利用したいと考える研究者や技術者にとっての障壁となる可能性もある。  本研修では、深層学習などの技術を自身の研究・業務に取り入れたいと考えるものの、どこから手をつけていいかわからないという方を対象とし、深層学習とはどのようなものか、またその基盤となる要素技術はどのようなものか、について概観する。具体的には、まずAIや機械学習、深層学習と呼ばれる技術の関係を整理した上で、これまでの歴史を振り返りつつ、それまでの技術と深層学習の違いを明らかにする。特に、表現学習と呼ばれる技術のひとつとされる深層学習が、なぜこれほど広く使われるに至ったかについて、あるタスクで学習したモデルの一部を他のタスクにも流用可能であるという点に注目しつつ解説する。続いて、深層学習の基礎となる技術について概観した上で、深層学習で利用するモデルであるニューラルネットワークがレイヤと呼ばれる構成要素を持ち、これを組み合わせることで学習により決定されるパラメータを数多く持つ巨大なものとなることを確認する。一般に機械学習では、多くのパラメータを持つモデルを利用した場合、過学習と呼ばれる問題が生じる。この問題に対して、深層学習で取り入れられている対策について述べる。加えて、多数のレイヤを持つモデルで生じる勾配消失などについても、その原因と対策について説明する。  最後に、講演者自身が取り組む最近の研究を例として、深層学習に関連する最新の話題についても述べるとともに、講演者が核物理分野の研究者と実施している信号識別のタスクを例として、情報学分野の研究者の立場で、核物理分野との共同研究の進めて感じたこと、また、核物理分野と情報学分野の共同研究に期待されるそれぞれの分野への貢献についても述べる。