FROH11 加速器応用・産業利用 8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 16:20-16:40 |
シンクロトロンからの取り出しビーム軸の安定化 |
Stabilization of beam axis extracted from synchrotron |
○友 亮人,想田 光,遊佐 顕,田代 睦(群馬大重粒子線医学セ) |
○Ryoto Tomo, Hikaru Souda, Ken Yusa, Mutsumi Tashiro (Gunma Univ Heavy Ion Medical Ctr) |
群馬大学重粒子線医学センター(GHMC)では炭素線治療装置を用いて2010年3月よりがん患者に対する治療照射を行っている.粒子線治療においてビーム軸は線量分布に影響する重要な要素である.現状,特にエネルギーの低い290MeV/uでの運転時に,シンクロトロンの初期化完了から1分以内で0.5-1.0mm程度と大きくビーム軸が変動することが確認されている.このビーム軸の変動を抑えることによって,さらに安定した治療条件を実現することが可能となる.ビーム軸の変動の要因として電磁石のヒステリシスによるCOD時間変動の影響とスピル内運動量の変動によるDispersionの影響が考えられるが,ビーム軸変動を抑えた新規ビーム光学系を開発するためにビーム軸変動の原因と変動量を定量的に調査する必要がある.そのため,長時間運転時のビーム軸変動量の計測とCODの寄与をなくした際のビーム軸変動の計測を行った.その結果シンクロトロン起動からの30分間でCODが最大1.4mm,治療室内でのビーム軸が1.2mmの変動が生じており,COD時間変動とDispersionの両方がビーム軸変動に関与していることが分かった. MAD8を用いたシミュレーションにより,軌道変化が生じない新規光学系を作成した.シンクロトロン出射直前の四重極磁石S-QF3から治療室までのベータトロン位相進みを3.2π付近にした新規光学パラメータでの試験の結果,シンクロトロン起動からの30分間でのビーム軸の変動量を0.5mm以下に抑えることに成功した. |