FROH08  加速器応用・産業利用  8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 15:20-15:40
フェムト秒電子線パルスを用いた超高速電子線回折と電子顕微鏡の開発
Ultrafast electron diffraction/microscopy with femtosecond electron pulses
 
○楊 金峰,玄 一貴,菅 晃一,吉田 陽一(阪大産研)
○Jinfeng Yang, Kazuki Gen, Koichi Kan, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.)
 
フェムト秒時間領域での原子や分子レベルの超高速構造ダイナミクスの観察は、物質科学研究者の長年の夢であり、新しい物質の創製・機能の発見に重要な役割を果たす。そこで、我々は、高周波(RF)加速器技術を利用した相対論的エネルギーのフェムト秒電子線パルスを発生し、超高速電子線回折と電子顕微鏡の開発を推進している。それを実現するために、RFの非線形成分によるエミッタンスの増大を抑え、最高繰返し1kHzで運転も可能とする新型常伝導RF電子銃を設計・製作し、これを用いたnm-radの極低エミッタンスフェムト秒電子線パルスの発生を行った。電子顕微鏡イメージングでは、大阪大学超高圧電子顕微鏡センターに設置されたメガボルト超高圧透過電子顕微鏡(TEM)レンズ系を活用し、エネルギーが3MeV、パルス幅が100fsの電子線パルスによる金属やポリスチレンなどのナノ粒子のTEM像や微結晶の電子回折図形の観察に成功した。本大会では、超高速電子顕微鏡用のRF電子銃の開発、極低エミッタンスのフェムト秒電子線パルスの発生、それを用いた電子顕微鏡イメージングの成果について報告すると共に、高周波加速器技術を利用した電子顕微鏡の課題と解決策を議論する。