FROH04  電子加速器  8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール 13:50-14:10
CsKTeヘテロ接合によるGaAsカソードの高耐久化
Robust GaAs Cathode with CsKTe Hetero Junction
 
○栗木 雅夫,正木 一成(広島大学院先端研),郭 磊(名古屋大学シンクロ)
○Masao Kuriki, Kazushige Masaki (AdSM, Hiroshima U. ), Lei Guo (Synchro. Nagoya U.)
 
GaAsカソードは極低エミッタンス高スピン偏極電子が発生可能な特徴的なカソードである。そのような電子発生には表面構造をNEA(Negative Electron Affinity)とする必要があり、在来手法として清浄表面にCsOおよびCsNF3などを添加する方法が知られている。一方で、このように作成されたNEA表面は残留ガス(酸素、水、炭化水素等)による汚染、熱脱離、逆流イオンによる衝撃などにより容易に破壊されるため、その動作には極高真空を要求する。そのため、RF電子銃では使えないなど制限が大きく、極短バンチの生成などに困難がある。本発表では在来手法に代わるGaAsカソードのNEA活性化手法について述べる。清浄GaAs表面にその仕事関数がGaAsの禁制バンド幅より小さい薄膜を形成すると、理論上はNEA表面となる。このような手法をヘテロ接合によるNEA活性化と呼ぶ。現在までにCsTe薄膜半導体によるNEA活性化が報告されているが、その耐久性は限定的であった。今回、CsKTe薄膜をGaAs上に形成したところ、NEA活性化が確認され、さらにその耐久性を評価したところ、在来手法にくらべて10倍以上の改善が見られた。本発表ではその詳細を述べるとともに、RF電子銃による運用の可能性についても議論する。