WEP117 真空 8月8日 大展示ホール 13:10 - 15:10 |
レーザーラマン法による炭素薄膜の評価 |
Analysis of carbon thin films by laser Raman method |
○金正 倫計,神谷 潤一郎(原子力機構),小泉 欧児,那須 昌吾(株式会社 サンテック) |
○Michikazu Kinsho, Junichiro Kamiya (JAEA), Ohji Koizumi, Shogo Nasu (SUN-TECH) |
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、リニアックで加速された負水素イオン(H-イオン)を薄膜で陽子に変換する荷電変換入射方式を採用している。この薄膜の長寿命化が加速器の運転時間を決める。RCSでは薄膜として、ホウ素を約20%ドープした炭素薄膜(HBCフォイル)を使用している。荷電変換膜のビームに対する破壊機構を知ることは、長寿命薄膜を開発する上で重要である。 本研究では、荷電変換膜のビームによる破壊機構を解明することを目的として、ラマン分光法により、薄膜の結晶性、膜組成、応力等を評価した。使用した薄膜は、HBCフォイル、アーク放電法により製膜した炭素フォイル(Cフォイル)、グラフェン、及びカーボンナノチューブ(CNTフォイル)の4種類である。レーザー出力を変化させ、各フォイルのラマンピークシフトを測定した結果、HBCフォイルとCフォイルは、ラマンピークシフト変化が大きくD-bandは負、G-bandは正と逆符号であった。一方、グラフェンとCNTフォイルは、ラマンピークシフト変化は小さく、D-bandとG-bandはともに負であった。これらの結果から、レーザーによる入熱に対して、HBCフォイルとCフォイルは、大きな応力が発生することが分かった。 |