WEP114  真空  8月8日 大展示ホール 13:10 - 15:10
PFリングにおけるアンジュレータ#19用NEGコーティングダクトの設計と製作
Design and manufacture of the NEG-coated beam duct for Undulator #19 at PF-ring
 
○谷本 育律,金 秀光,山本 将博,野上 隆史,本田 融(高エネ研)
○Yasunori Tanimoto, Xiuguang Jin, Masahiro Yamamoto, Takashi Nogami, Tohru Honda (KEK)
 
KEKの2.5GeV放射光源PFリングでは、2018年夏期にBL-19用挿入光源を更新し、可変偏光アンジュレータU#19を設置する予定である。そして、U#19用ビームダクトには、海外の多くの加速器施設で実績を挙げている非蒸発型ゲッター(NEG)コーティングを採用する。NEGコーティングは、チェンバ内壁に約1μmのTiZrVのNEG材を製膜し、真空中で180℃に加熱することにより、チェンバ内壁を真空ポンプとして機能させる真空技術である。とりわけコンダクタンスの制限される長尺ダクトの排気に適している。また、光刺激脱離による初期のガス放出が従来のダクトに比べて2桁低いこともBL-21における放射光照射実験で実証されている。すなわち、到達圧力の低減に加え、それに至る立上げ期間を短縮できることがNEGコーティングの真空性能としての利点である。加えて、製作の観点からは、挿入光源内での排気ポートが不要になるという利点もある。ビーム路開口形状は、ビームダイナミクスの要請から全長4.1mにわたって±7.5mm以上の垂直開口を確保する必要があるためV15mm×H90mmの楕円とした。磁石列の最小ギャップが23mmであることからチェンバ高さを20mmとし、ビーム路に沿った水冷チャンネルも含めアルミ合金の押出成形により製造する。両端フランジにはAl-SUSのクラッド材を溶接する。その後、マグネトロンスパッタでNEG材を製膜する。本発表ではNEGコーティングダクトの設計と製作について詳しく報告する。