WEP058  高周波源  8月8日 大展示ホール 13:10 - 15:10
高透過率アノードを用いた仮想陰極発振器の特性評価と最適化
Characteristic evaluation and optimization of virtual cathode oscillator with high transmittance anode
 
○長尾 和樹,髙津 航,Pham Van Thuan,桜井 一哉,芦澤 和,久野 裕由,須貝 太一,江 偉華(長岡技術科学大学)
○Kazuki Nagao, Wataru Takatsu, Pham Van Thuan, Kazuya Sakurai, Wataru Ashizawa, Hiroyoshi Kuno, Taichi Sugai, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology)
 
 大電力マイクロ波発生方法の一つとして仮想陰極発振器が挙げられる。仮想陰極発振器は構造が非常にシンプルでありながら大電力マイクロ波を発振可能という利点があるため,防衛,電力転送,宇宙推進技術など様々な分野への応用が期待されている。しかし,マイクロ波発振効率が低いという問題点がある。ETIGO-IVを用いた仮想陰極発振器では,約35%の電子ビームがアノードを透過出来ずに損失になっている事が分かっており,高透過率アノードを使うことでアノードを透過出来ずに損失になるビームが減りマイクロ波出力が向上すると考えられる。本研究では,透過率85%, 90%, 95%のメッシュ状とワイヤー状のアノードを用いて実験を行い,マイクロ波特性の測定,及びビーム損失の測定を行った。透過率の上昇に伴って出力されるマイクロ波エネルギー,効率は低下した。また,発振時間が短くなり,広い周波数帯域にかけて複数の周波数で発振していることが確認された。アノード構造の違いによるマイクロ波エネルギー,エネルギー効率の変化はなかった。透過率の上昇によって発生する電子ビームの減少が確認されており,仮想陰極生成に最適な加速電圧,ビーム電流があると考えられる。電子ビーム損失の測定では,平均して約20%の電子ビームが損失になっており,透過率に依存して減少しないことが確認された。