WEP004  電子加速器  8月8日 大展示ホール 13:10 - 15:10
極低運動量移行電子弾性散乱による陽子半径測定のための電子ビームラインの構築
Construction of electron beamline for the measurement of proton radius by ultra-low Q value electron elastic scattering
 
○武藤 俊哉,青柳 泰平,柏木 茂,鹿又 健,齊藤 寛俊,須田 利美,髙橋 健,塚田 暁,長澤 育郎,南波 和希,南部 健一,二宮 慎吾,日出 富士雄,本多 佑記,三浦 禎雄,濱 広幸,玉江 忠明(東北大学電子光理学研究センター)
○Toshiya Muto, Taihei Aoyagi, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Hirotoshi Saito, Toshimi Suda, Ken Takahashi, Kyo Tsukada, Ikuro Nagasawa, Kazuki Nanba, Kenichi Nanbu, Shingo Ninomiya, Fujio Hinode, Yuki Honda, Sadao Miura, Hiroyuki Hama, Tadaaki Tamae (Research center for Electron Photon Science,Tohoku University)
 
μ水素原子分分光で測定された陽子荷電半径と電子分光、電子散乱で測定された荷電半径が一致しないという陽子半径パズルと呼ばれている問題がある。しかしながら過去の電子散乱実験による半径は解析モデル依存性がある。そこで東北大学電子光理学研究センター(ELPH)ではモデル依存性を排除した電子弾性散乱実験を計画している。高精度の電子散乱実験を行うためにはエネルギー可変、高デューティサイクルで0.1%以下のエネルギー分散が電子ビームに要求される。そこでELPHにある最大エネルギー70MeVの低エネルギー電子ライナックを用いることを計画している。この電子ライナックは運転開始から50数年経過しており加速器の主要コンポーネントは建設当時のままであるが現在でも300Hzの高繰り返し、平均電流120μAでビーム出力7kWという大電流を供給しており、主に放射性同位体製造に使われている。この電子ライナックのビーム輸送系を改造して今までの同位体製造の運転と電子散乱実験を両立するビームラインの設計を行った。電子散乱実験ではビームラインに設置された二つのエネルギー分散部にある二つのビームスリットを用いてエネルギー分散を要求の0.1%にコリメートする。本発表ではELPHにおける電子弾性散乱実験の概要とそれを実現するためのビームライン設計とライナックから現供給されている電子ビームの性能評価の結果を報告する。