WEOM04  ビームダイナミクス・加速器理論/レーザー  8月8日 特別会議室2 16:20 - 16:40
非線形逆トムソン散乱によるガンマ線渦の発生
Generation of gamma-ray vortices via nonlinear inverse Thomson scattering
 
○平 義隆(産総研),加藤 政博(分子研)
○Yoshitaka Taira (AIST), Masahiro Katoh (IMS)
 
本年会では、我々が新たに見出した非線形逆トムソン散乱による軌道角運動量を運ぶガンマ線渦の発生に関して発表する[1,2]。電磁波の位相が横方向平面内で変化しない平面波と異なり、螺旋波面を形成する光渦は横方向平面内で位相が変化し、伝播軸周りに軌道角運動量(OAM)を運ぶ。我々は、高強度円偏光レーザーを用いた非線形逆トムソン散乱によって発生する高次高調波ガンマ線が軌道角運動量を運ぶことを初めて明らかにした。n次の高調波は(n-1)hbarのOAMを運び、2次以上の高次高調波の空間分布は、光渦の特徴と一致する円環形状になる。 電子と高強度円偏光レーザーの正面衝突によってガンマ線渦が発生することは論文[1]で発表したが、最近、両者が任意の衝突角度で交差する場合についても理論計算を行った[2]。その結果、電子のローレンツ因子がレーザーの強度因子よりも十分に大きい場合、任意衝突角度においてもガンマ線渦が発生することを明らかにした。このOAMを運ぶ新規なガンマ線源は、原子核物理、物性物理、高エネルギー物理や天体物理において新しい研究領域を切り開く可能性を秘めている。 本発表では、理論計算の詳細を紹介するとともに、実証実験の内容についても簡単に説明する。 [1] Y. Taira, T. Hayakawa, M. Katoh, Scientific Reports, 7, 5018-1-9, (2017). [2] Y. Taira, M. Katoh, Accepted for publication in The Astrophysical Journal, (2018).