WEOM01  ビームダイナミクス・加速器理論/レーザー  8月8日 特別会議室2 15:20 - 15:40
J-PARC MRの大強度運転へ向けたバンチトレインチューンシフトの研究
Bunch train tune shift study for higher beam power at J-PARC MR
 
○小林 愛音,外山 毅,五十嵐 進,佐藤 洋一,下川 哲司,久保木 浩巧(KEK)
○Aine Kobayashi, Takeshi Toyama, Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Tetsushi Shimogawa, Hironori Kuboki (KEK)
 
J-PARC MRでは大強度ビーム運転に向けてアップグレードを進めている。 2017年秋にビームパワー450 kWで運転をしていたが、ビームロスによりそれより大きなパワーは制限されていた。ビーム強度を上げるためには、大強度のビームの振る舞いを理解するための大電流による影響の見積もりが不可欠である。 MRでの大強度運転では最大の8バンチを詰めて運転する。これまでシングルバンチでの測定は2015年に行われていたが、大強度ビームの8バンチでは行われていなかった。2017年秋にMRにおいて大強度、8バンチでチューンシフトを測定したところ、チューンが強度依存性およびバンチ数依存性を持っていた。ビーム調整は低強度で行われていたため、ユーザー利用のための大強度にするとチューンがずれてしまっていたことがわかった。これを補正することでビームロスは減り、ビームパワーを25 kW、さらに40 kW上げることにつながった。 チューンシフトは垂直方向、水平方向で符合が異なる振る舞いを示していた。その理由をダクトの形状や、バンチ数により強められる効果を考慮に入れ、space chargeの効果やquadrupolar wake field等による影響から考察している。今後さらなる大強度での運転をするためには、MRのインピーダンス源を特定し、それを考慮しながら調整していく必要がある。