THP124  加速器応用・産業利用  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
粒子線治療の高精度化に向けた強度変調型スパイラルビームスキャニング照射法の開発
Developments of spiral beam scanning irradiation system for a high precision particle therapy
 
○原 周平,福田 光宏(阪大RCNP),小泉 雅彦(阪大医学系研究科保健学専攻),高階 正彰(大阪重粒子線センター),神田 浩樹,依田 哲彦(阪大RCNP),山野下 莉那(阪大医学系研究科),佐川 友啓(阪大医学系研究科保健学専攻)
○Shuhei Hara (RCNP Osaka university), Mitsuhiro Fukuda (RCNP Osaka University), Masahiko Koizumi (Osaka University Graduate School of Medicine , Division of Health Sciences), Masaaki Takashina (Osaka Heavy Ion Therapy Center), Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita (RCNP Osaka University), Rina Yamanoshita (Osaka University Graduate School of Medicine), Tomohiro Sagawa (Osaka University Graduate School of Medicine , Division of Health Sciences)
 
我々は、粒子線治療のさらなる高精度化に向けた開発の一つとしてビーム照射技術の高精度化に着目し、スパイラルビームスキャニング照射という新照射法の開発を行なっている。腫瘍の輪郭形状を基にした渦型の走査軌道でビームを照射することで腫瘍辺縁部の照射精度を向上させ、正常組織への照射を低減させることを目的としている。しかし、辺縁部の照射精度を向上させる一方で、照射野の輪郭の凹凸に従って渦型の走査軌道には疎密が生じることから、一定のビーム強度および一定の走査速度で照射すると横方向についての線量分布の内部に均一性の悪化が生じる。これを改善するために、走査軌道の疎密に応じてビームの強度を変調しながら照射する手法を考案し、開発を進めている。開発を行っている大阪大学核物理研究センターでは、AVFサイクロトロンへの軸入射部分に設置しているビームキッカーへの印加電圧を変化させる事で、入射するビーム強度の連続的な変調が可能であることを確認した。シミュレーションでは、ある形状の照射野について±0.67%の均一度を達成しており、現在は実証試験に向けての開発を進めている。また、ビーム強度の変調をリアルタイムで確認するため、蛍光板と高速カメラを用いた粒子密度分布取得システムも並行して開発している。今回の発表では、本照射法の制御方法等の詳細を説明するとともに、これまでの開発で得られた結果について報告する。