THP092 加速器制御 8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10 |
J-PARCメインリング速い取出しキッカー電磁石のフェライト残留磁化によるビームロスに対する対策 |
Measures against beam loss due to residual magnetization of ferrite for fast extraction kicker magnet of J-PARC main ring |
○杉本 拓也,石井 恒次,上窪田 紀彦,芝田 達伸(高エネ研) |
○Takuya Sugimoto, Koji Ishii, Norihiko Kamikubota, Tatsunobu Shibata (KEK) |
J-PARCメインリング(MR)では、長基線ニュートリノ振動実験T2Kへ向けて、30GeVに加速した陽子ビームを速い取出し(Fx)により供給している。速い取出し機器は、MRからニュートリノターゲット(NU)へ向けてビームを取り出すだけでなく、加速器の調整や機器の異常時に、ビームを捨てるためのビームアボートダンプ(ABT)への取出しも行う。NUとABTへの取出し軌道は、周回軌道を中心として左右対称で、Fxキッカー電磁石の磁場の極性を変えることで行き先を制御している。Fxキッカー電磁石のパルス電源は両極性のブルームライン型電源で、サイラトロンに送るトリガー信号を変えることで極性を制御している。加速器の調整後、ビームの取出し先をABTからNUへ変更した直後に、入射から取出しまでの間のビームロスが増加する現象が2017年ごろから観測され始めた。調査の結果、Fxキッカー電磁石のフェライトが、ABT取出し用の磁場により、NU取出し用とは逆向きに磁化し、周回ビームの水平方向CODが変化した事が原因だとわかった。その対策として、専用のトリガー回路モジュールをEPICSシーケンサとPLCで制御するシステムを開発し、フェライトの残留磁化の方向を制御するシステムを構築した。本発表では、制御システムの詳細とビーム試験結果について報告する。 |