THP079  ビーム診断・ビーム制御  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
カーボンナノチューブワイヤーを用いたビームプロファイル測定試験(3)
BEAM PROFILE MEASUREMENT USING CARBON NANOTUBE WIRES (3)
 
○宮尾 智章,三浦 昭彦(高エネルギー加速器研究機構)
○Tomoaki Miyao (KEK, J-PARC), Akihiko Miura (JAEA, J-PARC)
 
J-PARCリニアックでは、ビームロスが少なく、安定したビーム運転を実現するため、ビームプロファイルモニタ用い、ビーム進行方向に対して鉛直な断面のプロファイルを測定して、4極電磁石の調整を行っている。ビームプロファイルの測定には、ワイヤスキャナモニタ(WSM)を使用しており、リニアックの高エネルギー部では、センサ部にタングステンワイヤーを使用している。このワイヤーは、加速したビームと直接相互作用するため、ビーム出力向上する際、より高い耐久性のあるワイヤー材料が必要である。そこで、高い引張強度、電気伝導度を有し、熱的に無酸素状態で3000℃まで耐えられるカーボンナノチューブ(CNT)に着目し、ビーム阻止能が高い3MeVの負水素イオンビームでビームプロファイル測定試験を実施した。この結果、ピークビーム電流30mAにおいて、高い耐久性を持ち、従来の炭素繊維と比較して、より広いダイナミックレンジがあることが確認できた。さらに、ビーム阻止能が低い高エネルギー部にCNT製ワイヤーが適用できるか確認するため、191MeV調整部のWSMにCNT製ワイヤーを適用し、ピークビーム電流40mAでプロファイル測定試験を実施した。本発表では、191MeVにおけるプロファイル測定について、3MeVでの測定結果及びタングステンワイヤーでの測定結果と比較して報告する。