THP039  粒子源  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
普及型ECRイオン源における長期運転パラメータの検討
Investigation of a long term operation under the carbon ion production at compact ECR ion source
 
○鈴木 太久,髙橋 勝之,佐々野 利信,白石 直浩(加速器エンジニアリング(株)),村松 正幸(放射線医学総合研究所)
○Taku Suzuki, Katsuyuki Takahashi, Toshinobu Sasano, Tadahiro Shiraishi (AEC), Masayuki Muramatsu (QST)
 
放射線医学総合研究所(NIRS)では、2004年から重粒子線がん治療装置の小型化・低コスト化の研究が行なわれている。現在では群馬、佐賀、神奈川の3か所において実機が製作され治療運用されている。各施設では、永久磁石だけで閉じ込め磁場を形成するECR型イオン源(Keiシリーズ)を使用している。これらはNIRSに設置された試作機のKei2を基に設計されている。現在、普及型イオン源において引出電極に炭素由来の汚れが付着し、暗電流が増加してビーム供給が困難になる現象が発生している。原因として、多量のメタン(CH4)ガスをイオン源内に導入していることが考えられる。その対策として、異なる核種のガスをイオン源に導入するガスミキシング法が有効と考える。そこで、Kei2においてCH4とHeのガスミキシングを行い、CH4の量を減らした上で炭素ビーム強度を確保できるか試験を行った。また、ガスミキシングを用いた連続運転を行い、引出電極の暗電流の変化を測定した。試験の結果、Heを導入することにより元の供給パラメータより40 %程度CH4を減らしても320 μAのビーム電流を確保できた。また、連続運転を行うと30日間で通常時は3 mA程度流れる暗電流が、ガスミキシング時は2 mA程度と上昇が緩やかになる傾向が見られた。このことから、炭素を含むガスの量を減らすことで、長期運転に適したイオン源パラメータを作成できると考えられる。本稿ではそれぞれの試験とその結果について述べる。