IPP001  革新的加速器技術(の提案)  8月8日、9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
軌道偏心した加速器における横方向運動の解析
Study of Transverse Motion in Cotangential Trajectory Accelerator
 
○青木 孝道,関 孝義,中島 裕人,羽江 隆光,堀 知新,えび名 風太郎,平本 和夫((株)日立製作所)
○Takamichi Aoki, Takayoshi Seki, Nakashima Yuto, Takamitsu Hae, Chishin Hori, Futaro Ebina, Kazuo Hiramoto (Hitachi, Ltd.)
 
従来、粒子線治療用の加速器としてシンクロトロンやサイクロトロンやシンクロサイクロトロンが用いられている。シンクロトロンはエネルギー可変性が特長であり、サイクロトロンやシンクロサイクロトロンは小型な点が特長である。これらのメリットを両立する新概念の加速器として「周波数変調型可変エネルギー加速器」を案出・提案した。新概念の加速器では各エネルギーの周回軌道が同心円ではなく偏心した配置となり、異なるエネルギーの軌道が密に集まる領域(集約領域)が形成される。本加速器では動径方向に磁場が低下する弱収束磁場を用いてビームを安定周回させるが、集約領域付近での六極以上の多極磁場が大きくなり、安定周回可能なビームのエミッタンスを制限することが考えられる。本研究の目的は、新概念加速器において、陽子線治療に必要な235 MeV以下の範囲での横方向運動が安定する為に、軌道配置と集約領域における六極磁場強度に課せられる必要条件を評価した。軌道の中心位置の軌道半径による微分を軌道集約度として定義したうえで、軌道集約度と集約領域の磁場勾配をパラメータとし数値計算により、横方向運動が安定する範囲を探索的に特定した。さらに、集約点に存在する六極磁場の影響を多粒子の軌道追跡計算で評価した結果、水平方向のアクセプタンスは十分大きく、鉛直方向アクセプタンスは10πmm mrad程度の粒子線治療に十分適用可能な値が得られた。