FSP032  施設現状報告ポスター  8月8日、9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
産総研 電子加速器ベース低速陽電子利用施設
AIST electron accelerator based slow positron facility
 
○大島 永康,滿汐 孝治,オローク ブライアン,小林 慶規,鈴木 良一(産総研)
○Nagayasu Oshima, Koji Michishio, Brian O'rourke, Yoshinori Kobayashi, Ryoichi Suzuki (AIST)
 
産業技術総合研究所(産総研)の低速陽電子ビーム利用施設では、専用の電子線形加速器(加速エネルギー40 MeV)を利用した低速陽電子ビーム発生技術の開発と、それを利用した微小空隙の評価・分析技術の開発に取り組んでいる。高エネルギー電子ビーム(パルス幅1 μs、繰り返し周期50 Hz)をTa標的に照射し、標的中での制動放射X線発生と追随する電子-陽電子対生成過程によって、高強度の白色陽電子を発生させている。これら陽電子を井桁状に組まれたW箔で減速・単色化し、数eV程度のパルス状低速陽電子ビームを生成している。得られたビームは、リニアストレージと呼ばれる電磁トラップで捕捉後、準直流的に引き出し、短パルス化(100ps)し集束することで、様々な材料の欠陥評価・ナノ空孔分析等に用いられる。近年では、低速陽電子ビームを用いて試料表面の原子空孔分布を数十µmの空間分解能で顕微観察する技術、湿度をコントロールした雰囲気で薄膜等の分析を行う技術を開発し、外部ユーザー専用のビームライン等も備えて外部利用を積極的に受け付けている。