FSP011  施設現状報告ポスター  8月8日、9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
群馬大学重粒子線医学センターの現状報告
Present status of Gunma University heavy ion medical center
 
○想田 光,友 亮人,遊佐 顕,田代 睦,島田 博文,松村 彰彦,久保田 佳樹(群大重医セ),金井 達明(大阪重粒子セ),取越 正己(群大重医セ)
○Hikaru Souda, Ryoto Tomo, Ken Yusa, Mutsumi Tashiro, Hirofumi Shimada, Akihiko Matsumura, Yoshiki Kubota (GHMC), Tatsuaki Kanai (OSAKA-HIMAK), Masami Torikoshi (GHMC)
 
群馬大学重粒子線医学センターでは、普及型炭素線治療装置による最大400MeV/uの炭素ビームを用いて2010年3月からがん患者に対する治療照射を行い、2018年3月までに累計2711名の治療を遂行した。2018年4月から公的医療保険適用対象が一部の頭頚部がんや前立腺がんにも拡大され、治療患者数は増加傾向にある。加速器系では、治療が一日単位で停止することはなかったものの重大な故障が数件発生した。定期点検後に粗引き用スクロールポンプが相次いで排気能力低下を起こし、通常10^-5Pa台のRFQタンク内真空度が一時1Pa台まで悪化した。チップシール交換・長さ調整などの処置を行ったが再度悪化に至った個体もあり原因はまだ調査中である。また、シンクロトロン加速空洞のRFアンプで、FET素子が運転開始後初めて故障した。これまでほとんどトラブルがなかった箇所であるが再発すると影響が大きいため、放射線の影響を含め原因の調査を行っている。装置の改良については、イオン源の寿命改善のためアノード電極の形状を変更し、中心部以外の穴を無くすことで引き出し電極側へのガス流入を抑える改造を行った。2ヶ月経過時点では引き出し電極のベース電流は以前より小さく、良好な結果を示している。また、ビームスキャニング方式による治療に向けた要素技術の整備を行っており、その延長として微小スポットビームで小さい病変を治療するカーボンナイフ構想に対する基礎研究を進めている。