WEP120  真空  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
NEGコーティングした内径23 mm真空チューブの開発
Development of 23mm diameter vacuum tube with NEG coating
 
○金 秀光,谷本 育律,内山 隆司,山本 将博,宮島 司,本田 融(高エネ研)
○Xiuguang Jin, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama, Masahiro Yamamoto, Tsukasa Miyajima, Tohru Honda (KEK)
 
近年の光源加速器では小径ビームチューブが要求されるため、超高真空の実現に不可欠な低いガス放出特性と高い実効排気速度を同時に満たす手段としてNEGコーティング技術が注目されている。NEGコーティングは、非蒸発ゲッター(NEG)材をチューブの内壁に成膜することでガス源である内壁をポンプに変える技術で、さらに低い光刺激脱離特性や低い2次電子放出特性を有することから多くの加速器で採用されている。  本研究では、PF後継機として計画中の3GeV新蓄積リングで要求される内径23 mmのチューブを用いてNEGコーティングを行った。成膜にはKEKで設計、製作したMagnetron Sputtering装置を、NEG材にはCERNで実績のあるTi-Zr-Vを用いた。今回は膜の構造と密接な関係にあるとされるコーティング温度に着目し、排気性能や光刺激脱離特性との相関を調べた。  室温、100℃と200℃のいずれの温度でコーティングした膜でも、CERNで報告されているTi-Zr-Vの金属比に近い値が得られ、設計通りの組成比を持つNEG膜の生成に成功した。排気性能を調べたところ、100℃と200℃のチューブは室温のチューブより高い排気性能を示し、またCO飽和と活性化を繰り返す使用寿命測定でもはるかに安定な排気性能を示した。これらの結果は組成比だけでは排気性能の違いが説明できないことを意味し、今後はNEG膜の表面と微細構造に注目して排気性能と使用寿命との相関の解明を目指す。