WEOM17 光源加速器 8月10日 会議室201 16:40 - 17:00 |
共振器型X線自由電子レーザーにおけるコンプトン散乱ガンマ線の発生 |
Compton gamma-ray geneartion from a X-ray FEL Oscillator |
○羽島 良一(量研機構),藤原 守(量研機構、大阪大学) |
○Ryoichi Hajima (QST), Mamoru Fujiwara (QST, Osaka U.) |
UV領域で動作する共振器型FELでは、電子ビームとFELパルスを共振器内で衝突させることで、レーザーコンプトン散乱によるMeV領域のガンマ線ビームの発生が可能であり、Duke大学のHIGSなどでMeVガンマ線のユーザー利用が行われている。 われわれは、これと同様に硬X線領域の共振器型FEL(XFELO)からGeVガンマ線の発生が可能であることを示す[1]。 完全結晶サファイアは硬X線に対して直入射で高い反射率を持つ。このような結晶を用いた硬X線領域の共振器型FEL(XFELO)がK-J. Kimらによって提案されている。ここで、電子ビームの繰り返し周波数をX線パルスが共振器を往復する周波数の2倍に選ぶと、電子とX線は共振器の中央で正面衝突し、コンプトン散乱によって反跳した光子はGeVガンマ線となる。さらに、ここでは、電子の静止系における入射光子のエネルギーが電子の静止質量よりもはるかに大きくなるため、散乱光子のエネルギーは電子のエネルギーとほぼ等しくなり、エネルギースペクトルは狭帯域(〜0.1% FWHM)となる。このようなガンマ線ビームはハドロン物理の研究に有用なプローブとなる。発表では、電子ビームのエミッタンスとエネルギー広がり、X線レーザーの波長広がりと角度発散が、それぞれガンマ線のスペクトルに及ぼす影響、ガンマ線のエネルギー可変方法、フラックス増大の可能性などについて述べる。 [1] R. Hajima and M. Fujiwara, PR-AB 19, 020702 (2016) |