WEOL08  加速器土木・放射線防護2/粒子源2  8月10日 国際会議室 13:30 - 13:50
ATFダンピングリング軌道安定化のための 冷却水温度制御
Temperature control of the cooling water for the orbit stabilization of KEK-ATF
 
○内藤 孝,荒木 栄,奥木 敏行,久保 浄,黒田 茂,照沼 信浩(高エネルギー加速器研究機構)
○Takashi Naito, Sakae Araki, Toshiyuki Okugi, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Nobuhiro Terunuma (KEK)
 
高エネルギー加速器研究機構先端試験加速器ATF/ATF2では超低エミッタンス電子ビームによる最終収束系の試験が進められている。ATFダンピングリング(ATF-DR)の軌道変動は、最終収束系のビーム調整に大きく影響するため安定化の努力が続けられて来た。軌道変動要素の一つとしてマグネット、真空チャンバーなどの冷却水の温度変動が挙げられる。ATF-DRでは、アーク部にコンバインドベンドを採用しているため冷却水の温度による熱収縮のためわずかな軌道の変動やTuneの変動が起こる。ビーム制御の精度が上がり、冷却水の制御温度+/-1℃に比例してビーム軌道が変動していることが解った。このビーム軌道の変動を抑えるために、冷却水の温度をさらに安定化させる必要が生じるようになってきた。 マグネット、真空チャンバーなどの冷却水は気化熱を利用したクーリングタワーによって作られている。冷却水の温度制御はクーリングタワーの散水ポンプとファンの発停によるオンオフ制御と三方弁のFID制御の組み合わせによって行われている。冷却水の温度安定化のためにPID制御のパラメータの調整を行ったが、クーリングタワーのオンオフ制御時に急激に変動する水温変化を吸収しきれず1℃以下の温度制御は難しいように思われた。この問題を解決するためにオンオフ制御の特殊な設定を行い、冷却水の制御温度を+/-0.1℃程度まで下げることが出来、軌道の安定化を実現することが出来た。