TUOLA02 学会賞受賞講演 8月9日 国際会議室 17:35 - 17:50 |
重イオン蓄積リング個別入射方式の開発 |
Development of the individual injection method for heavy ion storage ring |
○山口 由高(理化学研究所 仁科加速器研究センター 実験装置開発室) |
○Yoshitaka Yamaguchi (RIKEN Nishina Center, Instrumentation Development Group) |
個別入射方式とは、サイクロトロンで加速した1次ビームを標的に照射することにより生成された2次ビームのうち、必要なものだけを選別・輸送し蓄積リングへ入射することに適した手法である。具体的には、蓄積リング用入射キッカー電磁石を励磁するためのトリガー信号を入射させたい粒子自信で予め発生させ、そのトリガー信号を高速で伝達し直ちにキッカー電磁石を励磁する。一方でその粒子は、ビーム輸送ラインを飛行した後に励磁中のキッカー電磁石を通過することで、キッカー磁場を感じ蓄積リングの周回軌道へと入射される。この仕組みを理研RIビームファクトリーの超伝導RIビーム生成分離装置(BigRIPS)とそれに繋がる稀少RIリング(R3)において使用することで、安定核から遠く離れた稀にしか生成されず且つ極短寿命な不安定核でさえもR3に確実に入射でき、精度良い質量測定や寿命測定などが実現可能となる。 2015年6月に核子当たり168MeVの78Krビームを用いてR3のビームコミッショニングを実施した際、78KrをR3に個別入射することに成功しこの仕組みを初めて実証した。また12月の質量導出原理実証試験では、36Arと35Clの2核種を問題なく個別入射できることを確認したので、それらの結果にも言及しつつ個別入射方式の開発を中心に話を進める。 |