MOP107 真空 8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10 |
SuperKEKB陽電子ダンピングリングの真空システム |
Vacuum System of Positron Damping Ring for SuperKEKB |
○柴田 恭,末次 祐介,石橋 拓弥,白井 満,照井 真司,金澤 健一,久松 広美(KEK) |
○Kyo Shibata, Yusuke Suetsugu, Takuya Ishibashi, Mitsuru Shirai, Shinji Terui, Ken-ichi Kanazawa, Hiromi Hisamatsu (KEK) |
SuperKEKBにおいては、陽電子リングへの入射効率を向上するために、ダンピングリング(DR)が新たに建設される。DRは2つのアーク部(約110 m)と2つの直線部(約20 m)からなるレーストラック形の蓄積リングで、ビームエネルギーは1.1 GeV、最大蓄積電流は約70 mAである。アーク部では”Reverse-bend FODO”ラティスが採用されるため、リング一周あたりで最大約7.2 kWの放射光がリング外側にだけではなく内側にも照射される。そのため、光マスクと冷却水チャンネルがダクト両サイドに設置される。また、電子雲の発生と光マスクのインピーダンスを低減するため、ダクトの両サイドにはアンテチェンバーが設けられる。電子雲対策としては、更にグルーブ構造とTiNコーティングが用いられる。ダクト断面形状は、ビームチャンネル部の高さが24 mm、アンテチェンバーを含めた全幅が90 mmである。一方、直線部のダクト断面形状は正八角形(高さ、幅ともに46 mm)などであり、水冷も行われない。ビームパイプはアルミ合金製で、本数は約100本である。ビームパイプはTiNコーティングとベーキングが施された後に加速器トンネル内に設置される。排気はNEGポンプとイオンポンプによって行い、平均到達圧力の目標値は1e-5 Pa以下である。ビームパイプの製作とTiNコーティング及びベーキングは、2015年度末までにほぼ終了しており、2016年5月からはビームパイプの設置作業が行われている。 |