SUP098  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂2階ロビー 13:00 - 15:00
金メッキされたタンタル製ビームパイプサンプルにおける光子の先端散乱
Tip-scattering measurement for sample of gold plated tantalum beam pipe
 
○石橋 拓弥,金澤 健一(高エネ研・加速器),田中 秀治(高エネ研・素核研)
○Takuya Ishibashi, Ken-ichi Kanazawa (KEK Accelerator Laboratory), Shuji Tanaka (KEK Institute of Particle and Nuclear Studies)
 
SuperKEKBの衝突点付近では、素粒子検出器であるBelle IIがビームパイプビームを囲むように据え付けられ、その中心部で電子・陽電子ビームが互いに衝突を繰り返す。衝突点のビームパイプは物質量を極力抑える必要があり、SuperKEKBでは機械的強度も有しているベリリウムが使用される。衝突点のビームパイプには最終偏向電磁石および最終収束電磁石内で発生したシンクロトロン放射光が侵入する。この放射光は最内層にあるPXD等のバックグラウンドとなる。バックグラウンドを低減するため、このビームパイプには厚さ20 μmの金メッキが施される。これにより10 keV以下の光子はほぼ阻止できる。また上流からのシンクロトロン放射光が直接ベリリウム部に当たらないように、ビームパイプの衝突点への入り口は直径10 mmに絞られている。さらに衝突点付近では物質量の大きいタンタル製ビームパイプが使用され、この内壁面にリッジ構造をつけることにより散乱光の範囲を制限し、散乱光が衝突点のベリリウムパイプへ到達することを阻止している。このタンタルビームパイプのリッジ先端部における放射光の乱反射の影響を評価するため、コーネル大学CHESS(Cornell High Energy Synchrotron Source)、G2ビームラインにおける9 keVの放射光を利用してリッジ先端における光子散乱の測定を行ったので、本年会ではその結果について報告する。