SUOTS2  特別講演  8月4日 豊田講堂ホール 16:50 - 17:20
リニアコライダー計画(ILC)- 加速器科学の挑戦 -
Linear Collider Projects: A Challenge of Accelerator Science
 
○栗木 雅夫(広島大学先端研)
○Masao Kuriki (AdSM, Hiroshima University)
 
リニアコライダーは線形加速器による電子と陽電子の衝突型加速器である。リングによる電子・陽電子コライダーはシンクロトロン放射の急激な増大により、エネルギー的に限界を迎えつつある. 原理的にシンクロトロン放射が発生しないリニアコライダーは重心系エネルギー200GeVを超える高エネルギー現象を探索するのに適しているとして、1990年代から検討が行われてきた。世界の将来加速器検討委員会は2004年に、リニアコライダーを超伝導加速方式で世界統一のプロジェクトとして推進することを 決定し、国際リニアコライダー計画がスタートした。世界の加速器研究者により研究および設計がすすめられ、2012年には技術設計書が完成した。リニアコライダーでは偏極電子ビームが大きな役割を担うが、偏極電子ビームは1970年代のSLACで利用が始まり、1990年代の名古屋大学を中心とするグループの活発な研究開発により90%という高い偏極度が実現されており、リニアコライダーの設計もこの成果をベースとしている。本発表では、リニアコライダーの設計思想、偏極電子ビームの役割、最新の技術開発の成果、計画についての最新の動向について述べる。