SAP059  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
低温領域でのSiCセラミックスの高周波誘電特性
RF Dielectric Properties of SiC Ceramics at Low Temperatures
 
○竹内 保直(KEK加速器),沢村 勝(原子力機構)
○Yasunao Takeuchi (KEK Accelerator), Masaru Sawamura (JAEA)
 
SiCセラミックスの製品の中には、常温において、マイクロ波領域で、比較的大きな誘電率(実数部、虚数部とも)を持つものが存在することが知られており、加速空洞のHOM減衰器等に電波吸収体として応用されている。特に、KEKB-ARES空洞の溝付ビームパイプ型HOM減衰器で使用されているSiCセラミックスは、マイクロ波領域で典型的な緩和型誘電分散特性を有していることが確認されている。そして、この特性は、SiCセラミックスが持つ「低抵抗結晶粒内と高抵抗結晶粒界」の構造によって説明されている。さらに、この特性の緩和時間は、300~350Kの温度では温度上昇と共に減少することが測定され、この温度特性は、構造モデルに基づいて結晶粒内のキャリア濃度の変化に関係づけて説明されている。今回、私達は、この誘電率発現機構のモデルを検証することを目的として、このSiCセラミックスの高周波誘電特性を40~300Kの範囲の温度で測定した。その結果、温度の低下と共に、緩和時間が増加していると解釈できる結果を得た。この結果は、今までの誘電率発現機構モデルの説明に一致するものである。また、このSiCセラミックスのマイクロ波領域での誘電率は、100K以下の温度では、実数部、虚数部共に小さくなり(緩和時間の増加によると考えられる)、電波吸収体として使用できないことが確認された。本報告では、これらの測定の結果に基づいて、SiCセラミックスの高周波誘電特性について議論する。