SAP017  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
サイクロトロン入射器の高温超伝導化への挑戦
Challenge for the High Temperature Superconducting Injector Cyclotron
 
○鎌倉 恵太,畑中 吉治,福田 光宏,依田 哲彦,植田 浩史,森信 俊平,齋藤 高嶺,永山 啓一,田村 仁志,安田 裕介,横山 久美子,竹村 真哉(大阪大学RCNP)
○Keita Kamakura, Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroshi Ueda, Shunpei Morinobu, Takane Saito, Keiichi Nagayama, Hitoshi Tamura, Yusuke Yasuda, Kumiko Yokoyama, Shinya Takemura (RCNP, Osaka University)
 
現在大阪大学RCNPサイクロトロン施設では高強度二次粒子生成及び高品質ビームの強度増強を目指した開発が進められている。特に超冷中性子実験やミューオン科学実験等の二次粒子生成量増加のための陽子ビーム大電流化への要請から、既存のK400リングサイクロトロン出射後で10μA以上のビーム量を確保することを目標としている。現在リングへの入射器として用いられているAVFサイクロトロン(K140)では入射・引出性能に限界があるため、それに代わる新入射器の開発を進めている。また新たな入射器を製作するに当たって、近年注目されている高温超伝導磁石を用いたサイクロトロンを検討中である。高温超伝導電磁石は低温超伝導電磁石に比べてクエンチに対する安定性・信頼性に優れ、迅速な励磁電流変更にも対応できることから次世代のサイクロトロン電磁石として期待されている。現在、高温超伝導磁石にはサイクロトロンに利用できるようなメートル級のものは未だ存在しない。この「高温超伝導サイクロトロン」は世界初の試みであり、将来における大口径・高磁場のサイクロトロン開発への第一歩である。本研究により、現状の高温超伝導磁石製作の問題点を解決し、サイクロトロン磁石として利用可能な大口径・変形磁石の開発が可能になれば、加速器開発の分野だけでなく、医療・工学等様々な分野での高温超伝導磁石の利用が広がることが期待される。