SAP012  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
進行波型電子線型加速器の収束効果の解析と測定
Analysis and Measurement of Focusing Effects in a Traveling Wave Linear Accelerator
 
○前坂 比呂和,安積 隆夫,惠郷 博文,原 徹,稲垣 隆宏,櫻井 辰幸,渡川 和晃,田中 均,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター)
○Hirokazu Maesaka, Takao Asaka, Hiroyasu Ego, Toru Hara, Takahiro Inagaki, Tatsuyuki Sakurai, Kazuaki Togawa, Hitoshi Tanaka, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center)
 
X線自由電子レーザーSACLAのような精密な電子線形加速器においては,電子ビームの軌道やエンベロップをモデル計算し,軌道補正やベータマッチングをおこなう必要がある。しかしながら,電子線形加速器の横方向ダイナミクスについては,蓄積リングなどの他の加速器と比べて十分に解析・測定されたとはまだ言える状況にない。実際,SACLAにおいてRF空胴型ビーム位置モニタのデータを使ってビーム軌道を解析したところ,これまで正しいと考えられてきた進行波型電子線形加速器のモデルでは軌道を再現することができないことがわかった。この従来のモデルには,加速によるダンピング効果と加速管出入り口の単極収束効果が含まれているが,SACLAの軌道データの解析によると,これらの効果だけでは説明できない四極の収束効果があることがわかった。そこで,3次元高周波電磁界シミュレータを使用して加速管の収束効果を解析したところ,四極の収束効果が存在することが確かめられた。その収束効果を取り入れた新しいモデルを構築した結果,SACLAの軌道データをうまく再現することに成功した。本発表では,この新しいモデルを紹介し,電磁界シミュレーションの結果,電子ビーム軌道の解析・測定の結果などについて報告する。