SAOT07  光源加速器1  8月3日 豊田講堂ホール 17:20 - 17:40
SACLA加速器と光源性能の高度化に向けて
Upgraded performance of SACLA accelerator and FEL
 
○原 徹(理研 SPring-8センター)
○Toru Hara (RIKEN/SPring-8 Center)
 
2012年3月のユーザー供用開始より約1年半、SACLAは大きなトラブルなくほぼ当初計画どおり稼働し、平成24年度は7016時間の総運転時間を達成した。SACLAではユーザー運転とともに、加速器や光源の安定化および高度化にも継続して取り組んでいる。加速器安定化の結果は加速器調整精度の向上につながり、レーザーパルスエネルギーは昨年に比べ約2割程度向上している。パルス繰り返しについても、RFコンディショニングが進んだことから2013年5月に10 Hzから20 Hzに上げ、更に今年度中に30 Hzまで上げていく予定である。高度化の面では、2色FEL発振やビームエネルギーのバンチ毎制御方式の試験を行った。アンジュレータ部シケインを利用した2色FEL発振では、19台のアンジュレータをシケイン上下流に分け、各々違うK値に設定することで、異なる波長をもつ2つのレーザーパルスを生成する。レーザーパルス間に時間ジッターはなく、遅延もサブフェムト秒の精度で調整可能で、X線ポンプX線プローブ実験などこれまでにないユニークな利用実験や測定手法の開拓が期待できる。ビームエネルギーのバンチ毎制御は、複数のビームラインと組み合わせることで、XFELの利用波長領域の拡大や、ユーザータイムの効率的運用につながる。本発表では、これらSACLA加速器や光源性能の高度化について、加速器運転の現状とともに紹介する。