MOOT14  加速器技術(真空)/光源加速器3  8月5日 豊田講堂ホール 15:30 - 15:50
SACLA加速器構成機器の高度化状況
Improvements of the accelerator components at SACLA
 
○前坂 比呂和(理研 放射光科学総合研究センター)
○Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center)
 
SACLAの最近の高度化についてハードウェアに関するものを中心に報告する。XFEL出力の増強と安定化のための課題として,(1)入射部の位相安定化・ビーム軌道安定化,(2)加速器のパルス繰り返しの高速化とトリップレートの低減,(3)アンジュレータの増設や磁場調整,などが挙げられる。まず,入射部においては,加速空胴の精密温度調整装置をACヒータによるPWM制御からDCヒータによる連続制御に改良したことにより,温度安定度の改善と,ヒータからの漏れ磁場による軌道変動を除去することができた。また,低電力RF機器の19インチラックに精密温度調整装置を導入して位相安定度を高めた。次に,Cバンド主加速部においては,供用開始当初の10pps運転から20pps運転に繰り返しを上げるとともに,高電圧モジュレータのサイラトロン自爆などのインターロックの見直し,加速管のコンディショニングによる放電頻度の低下,などによりトリップレートを低減した。その次に,アンジュレータ部分においては,アンジュレータを1台増設し,既設のアンジュレータの磁場の測定と調整をおこない,光源性能を高めた。以上の高度化により,1年前に比べて安定度が向上して精密なビーム調整が可能となり,10keVで平均250μJ程度だったFEL強度が350μJ以上で安定に運転できるようになるなどの改善をすることができた。